お札が偽造できないもう一つの理由
2024年7月3日から新しいお札が発行されました。
お札で大事なのは偽造防止。
印刷会社から見ても興味があります。
偽造されないように、本物と偽物の見分けがつくように最新技術がいくつも使われています。
日本銀行のホームページを見ると、以下のような印刷技術が使われているようです。
(1)深凹版印刷
インキを高く盛り上げる印刷技術。触るとざらざらしています。
・額面数字
・識別マーク
(2)高精細すき入れ(すかし)
従来からの肖像のすかしに加え、背景に高精細なすき入れが入っています。
(3)すき入れバーパターン
縦棒状のすき入れ。券種毎に本数が異なっています。
(4)ホログラム
肖像が三次元に見えて回転する(銀行券への搭載は世界で初めて)ほか、肖像以外の図柄も見る角度によって変化します。
(5)潜像模様
傾けると、表面は額面数字、裏面は「NIPPON」の文字が浮び上がります。
(6)パールインキ
傾けると、左右両端にピンクの光沢が見えます。
(7)マイクロ文字
虫眼鏡などで見ると、コピー機では再現できないほど小さな「NIPPONGINKO」の文字が見えます。
(8)特殊発光インキ
紫外線をあてると、日本銀行総裁の印章や模様の一部が発光します。
このような感じです。
これを全部やると結構な工程になりますね。
そしてお札が偽造できないもう一つの理由が「紙」
お札の紙が特殊です。
お札の手触りの紙は普段触ったことがありますか?
印刷用の紙をいろいろと触ってますが、あのお札のような質感の紙はありません。
昔、お札がここまで特殊な印刷をしてない時代は、
「紙をもらえればそこそこ近いものができる」
と言っていた印刷職人さんもいました。
以前、お札を印刷していた職人さんと話したことがあります。
だいぶ昔なので今はどうかわかりませんが、
お札の印刷をしていて紙がグシャっと印刷機の途中でからまってしまうことがあったそうです。
お札ではなく普通の印刷でもたまにあることで、印刷機の中に高速で紙が入っていくので、
なにかしらの拍子でそうなってしまいます。
普通の印刷では印刷機からバラバラになった紙を取り除き、そのまま廃棄するのですが、
お札の場合は紙が特殊で貴重なのでバラバラになった紙を全部集めて、
パズルのようにしてきちっと1枚にならないといけないそうです。
紙のかけらもなくしたらダメなようです。
それくらい紙の管理が厳しいようですね。
今回の新札はまだ触ってませんが、おそらく独特な紙質だと思います。
同人誌の印刷でもなにか特徴的な変わった印刷がしたいですね。